眠れない夜、音が気になって仕方ないとき
外を車が通る。
隣の部屋で誰かが動く。
時計の秒針が、急に大きく聞こえてくる。
昼のあいだは聞こえていなかったはずの音が、夜になると全部こちらへ届きます。
音が大きくなったのではありません
夜に音が気になるのは、音量が変わったからではなく、受け取り方が変わったからです。
神経が警戒している状態では、体はすべての音を「確認すべきもの」として扱います。通していい音と、確かめるべき音の区別が、そのときだけ効かなくなっています。
気にしないようにするほど、大きくなります
たいていの場合、はじめに手をつけるのは音のほうです。耳栓をする、音楽を流す、窓を閉める。
役に立つ日もありますが、限界があります。気にしないでおこう、と決めた瞬間から、気にしていないかどうかを見張る役ができてしまうからです。
旅先や、慣れない部屋で眠れないのも同じです。環境が悪いというより、警戒が解けていないというだけのことです。
眠れなかった夜は、翌日をつくります
一晩眠れないと、翌日は判断が重くなります。重くなると、何でもないことに時間がかかり、その遅れがまた気になります。
そして夜になると、「今日も眠れなかったらどうしよう」が加わります。昨日の一晩が、今夜の警戒をつくっている。
こうして、音のせいで眠れなかった夜が、音がなくても眠れない夜を呼ぶようになります。
聞き慣れた声が、合図になる
眠る前にいつも同じ声を聴いていると、その声そのものが、休んでいいという合図になっていきます。
旅先でも家でも、同じ合図があれば、体は場所の違いに振り回されにくくなります。環境が変わる日ほど、いつもと同じものが一つあるだけで助けになります。
通らせておく、という受け取り方
聞こえてきた音を、ただ通らせておく。止めようとも、確かめようともしない。
そう言われて、スッと軽くなった、と書いてくださいました。自分がいつも、あらゆる音とあらゆる出来事を受け止めて疲れていたのだと、そのとき初めて気づいたそうです。
眠れない夜が続くと、体は「夜は眠れないもの」として覚え始めます。覚えたぶんだけ、布団に入る前から構えるようになります。
これは、神経質だからでも、気にしすぎだから、という話ではありません。受け取る力が強い、というだけのことです。呼吸が浅くなっていることに気づいていないときにも書いています。
旅先で眠れなかった夜のことを、ある方が言葉にしてくださいました。
参加者の方から届いたお便りより